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東京高等裁判所 昭和40年(行ケ)120号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、右争いのない事実によれば、本件は、旧法すなわち旧実用新案法(大正一〇年法律第九七号)のもとにおいて実用新案登録の出願がなされ、新法すなわち現行実用新案法が施行された昭和三五年四月一日には拒絶査定不服の抗告審判が係属しており、その後に抗告審判の審決がなされ、出訴期間の経過により審決の確定をみたものである。そして、この確定審決に対して新法第四二条の規定により再審の請求をすることができるか否か、これが本件唯一の争点である。

三、ところで、右抗告審判の審決は、新法施行法第二一条第一項の規定に基づき、従前の例により(旧法を適用して)なされたものであることは明らかであるが、右審決が確定した後は、新法のもとにおける確定審決として取り扱うべきことは、同施行法第三〇条の規定によつて明らかである。そして、新法第四二条は、いわゆる査定系審判であると当事者系審判であるとを問わず、確定審決に対しては、法定の再審事由に基づき再審の請求をすることができる旨規定しているのであつて、本件のような旧法下の登録出願に関し従前の例によつてなされた確定審決については、右新法第四二条の規定を適用しないものとする規定はどこにも存在しないのである。したがつて、右確定審決についても新法第四二条の適用があるものと解すべきであり、このように解しても、被告のいう法律不遡及の原則に反するものでないことはいうまでもない(最高裁判所第三小法廷昭和四一年行(ツ)第一二号昭和四二年一〇月一七日判決参照)。

四、なお、被告は本件におけるような確定審決に対する再審請求の処理について経過規定を欠いていることからみても、再審請求を認めないものとする法の趣旨がうかがわれる旨の主張をしている。なるほど、本件確定審決が新法下においてなされたものとみなされ、これに対する再審請求を認める場合、再審の手続および再審事由の存否については新法第四二条、第四五条の規定に従うこととなるのは明らかであるとして、本案請求の当否すなわち拒絶理由の存否は新法によるべきか旧法によるべきかの問題を生ずる。従前の例によつてなされた実用新案登録および訂正の無効の審判またはその抗告審判の確定審決に対する再審の請求が新法施行後になされた場合に関しては、新法施行法第二六条第二項において、新法施行後も旧法第一六条の規定がなおその効力を有するものとし、旧法の規定により無効事由の存否を判断すべき旨を規定しているのに反し、これといわば表裏の関係にあるともいえる本件のような査定系の確定審決に対する再審請求については、拒絶理由の存否を判断するための法規の適用について経過規定が存しないのである。このようなことは、たしかに法の不備といえるけれども、従前の例によつてなされた査定系の確定審決について、新法による再審請求を認めないとする明文の規定が存しない以上、右のような規定上の不備の存することのゆえに、新法による再審の請求が認められないとするのは妥当とは考えられない(この場合、前記施行法第二六条の規定の趣旨を類推し、拒絶理由の存否は旧法の規定に従つて判断すべきものと解される)。

五、以上説示のとおりであつて、本件再審請求を法規上許されないものとし、不適法として却下した審決は違法でありその取消を求める原告の本訴請求は理由がある。(多田貞治 古原勇雄 杉山克彦)

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